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死刑制度をめぐる世論


  論理を旨とするイメージのある役所で、どうみても道理に合わないことが平然と主張されているのを見て、素人としてその意図を考えあぐね、疑問にとらわれるときがあります。

 共謀罪もその一つで、そもそも「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」締結のために整備される国内法で対象とされる犯罪の中に、たとえば、なぜお酒を無免許で造ることまで入っているのか、分かりませんでした。

 おもしろいのは、「市町村の合併の特例に関する法律(昭40法6)」の「合併協議会設置請求の署名権者等に対する暴行等」「宣誓関係人の虚偽陳述」等も対象になっていることです。市町村合併と「国際的な組織犯罪」にどんな関係があるのか、さっぱり分かりません。

 そうした中で、先日のクリスマス当日、4人への死刑執行に対する法務省の弁に首を傾げてしまいました。

 1年3ヵ月ぶりの死刑執行だったわけですが、このまま執行されずに経過すると、「死刑制度そのものの根幹が揺らぐ」ということを法務省は懸念するらしい。

 その間の事情を朝日の記事は次のように伝えています。

 近年死刑判決の出ることが多く、2006年では20名を超えた。その一方で死刑命令書に署名するのに消極的な法相が多く、「03年まで50人台で推移してきた未執行者は24日現在で98人。年明けに100人を超える勢いだった」。

 100人超えを許したら制度としておかしくなる、と法務省幹部が危機感を募らせた。死刑執行者数の統計は、年締め。幹部は「今年をゼロにするのは絶対に避けたいという気持ちはある」と「年内執行」への執着を認める。


 そんな事情で死刑が執行されていく。

 その上、直後長勢法相は、国民の80%が死刑(制度)を認めている、ということをいってました。近年死刑判決の出ることが多いという事実も、これと符合します。

 なるほど、過去8回の「死刑についての世論調査」結果をみると、死刑廃止に賛成する割合は、1975年の20.7%を最高に年々減り、2004年の調査では6.0%になっています。反対する割合は1975年の56.9%を最低にして、2004年には81.4%に。分からない、と答えた人の割合も、1975年の22.5%が最高です。

 アムネスティによると、現在世界で法律上・事実上の死刑廃止国は128カ国。これに対して存置国は29カ国。

 毎年毎年、死刑廃止国は確実に増えています。

 そうした世界の趨勢に対して私たちの国がどうして逆の方向にあるのか、わかりません。
 たしかに私も、最近、ごく普通のやさしいお母さんが、「死刑は必要よ」と断言するのに出会いましたし。

 ここに、「死刑制度に関する世論調査の結果を考える」という一文があります。

 それによると、2004年12月に実施された
「基本的法制度に関する世論調査」の結果のうち、死刑制度の是非をめぐる部分についての質問内容とそれを選んだ人の割合は以下の通りです。

「死刑制度に関してこのような意見がありますが、あなたはどちらの意見に賛成ですか

(ア)どんな場合でも死刑は廃止すべきである :  
回答総数2048人のうち6.0%
(イ)場合によっては死刑もやむを得ない     :      〃          81.4%
(ウ)わからない、一概に言えない                     :               〃                        12.5%

 ところが、(イ)を選択した人のうち、サブクエスチョンの、「将来も死刑を廃止しない方がよいと思いますか、それとも、状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよいと思いますか。」という設問に対して、
 
(ア)将来も死刑を廃止しない 61.7%

(イ)状況が変われば、将来的には、死刑を廃止してもよい  31.8%
(ウ)わからない 6.5%
という回答になっているとのこと。

ということで、将来にわたって死刑制度を維持すべきだと考える人の割合は
  0.814×0.617=0.502238 で、全体からみれば、約50.2% ということになります。

 とすると、国民の80%が死刑制度を容認しているとする長勢法相の認識は、実際の数値結果とは異なることになります。もっとも、それは承知の上で、あえて単純化して大義を補ったのかもしれませんが、うがった見方をすれば、恣意的な操作をしたとも考えられます。

 詳しいことはリンク先の文を読んでいただくことにして、私は最初の設問で「わからない」とこたえた12.5%、サブクエスチョンで「わからない」と答えた81.4%の6.5%、つまり5.29%、あわせて17.79%の人に希望を持ちたい。

 この筆者は、2004年の調査も含めて過去3回の結果から死刑容認をする割合を導き出して、「「将来も死刑を廃止しない」という死刑賛成が10年間で39.3%→44.8%→50.2%という勢いで増加していることを危惧しています
(10年前に設問の形が変わって現在のものになりました。

 また筆者は、これ以外の調査の問題点についても指摘しています。詳しいことはリンク先の文を読んでいただくことにして、私はやはり死刑制度に賛成する人がなぜ増えてきたのか、気になります。

 
社会が不寛容の度合いを強めていくのと軌を一にしています。

 
いったい、この10年で何があったのか、と考えると真っ先に思いつくのはバブルの崩壊でしょう。そしてコイズミ改革。
 
 あの頃から日本社会は変化の足を速めたのかもしれません。

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「場合によっては…やむを得ない」という設問も微妙ですね。ある種誘導尋問のような。
100人越えてはまずい、など、本当に首をかしげてしまいますね。いじめ問題にさえ数値目標をつくるべきか、などと言っているようで、なんでも数値がものをいう社会なんてどうかしていると思います。警察官にもノルマがあるから、どうでもいい交通違反で点数を稼いだり、拳銃の摘発数を増やしたいから暴力団に協力を頼んだりなんて本末転倒なことになるのでしょう。末期的症状のような気がします。

『犯罪不安社会』

とむ丸さん、こんにちは。

今月発売されたばかりの光文社新書『犯罪不安社会』(浜井浩一、芹沢一也・著)は、厳罰化の背景に刑事司法における「被害者の発見」や「凶悪犯罪の語られ方の変化」があったと指摘していて、なるほど、と納得させられました。

『犯罪不安社会』は、刑事政策、治安政策を論じるうえで必読かつ「超お薦め!」の新書です。
http://ukiuki.way-nifty.com/hr/2006/12/post_dd36.html
(↑私のブログでの紹介記事です)

はじめまして。早速で恐縮ですが
政府の行う世論調査に限らず、世論調査には
(意図的ではないにしても)誘導や作為が入って
しまうことは否定できないと思います。

以前より感じていることなのですが、
ただ政府の世論調査の数字をいじくって、ああだこうだ
と論ずるのではなく、廃止派の方々の側で「公正」だと
思われるやり方で世論調査をされてみてはいかがでしょう。

もっとも、アムネスティなどは「この問題は多数決原理に馴染まない」としてはじめから「世論など関係ない」と高踏的態度を採っているようですが。

フランスでの議論でも

えー、あけましておめでとうございます。
新たに組み上げたパソコンがようやく安定してきまして、ブログ巡りの旅を再開したMcRashでございまして、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、死刑廃止の論議は世論や多数決原理と馴染まない、というのは、まさしくフランスで死刑が廃止されたときの議論にありました。(喜八ログさまに、村野瀬玲奈さまが翻訳された、当時のフランス法相の演説がありますのは御存知かと思います)

あたしもその通りだと思いますし、そして、それは犯罪者を「犯罪者」とカテゴライズして人間社会から切り離すのではなく、犯罪を犯すのもまた人であり、人が犯罪に手を染めなくて済む社会を構築するためにどうあるべきか、という視点で人を捉え、考えることなのではないか、と考えるわけです。

実際、司法が厳罰の判断に傾けば傾くほど、悪質な犯罪は顕在化しているのではないでしょうか。

断罪だけでも矯正だけでもダメで、人を人としてきちんと扱うことから、隗より始めなくてはいかんのじゃないかなぁ、なんて思ったわけでした。

ヘリオトロープさん、コメントありがとうございます。
久しぶりのお声が聞けて、とてもうれしい。
本末転倒、と思います。予算を消化するのと同じ感覚で人の命も消化されていくなんて、ね。

仲@ukiukiさん、はじめまして。
コメントありがとうございました。さっそくブログも読ませていただきました。ご推薦の本、探してみます。

DHさん、はじめまして。
コメントをありがとうございました。
「多数決原理に馴染まない」というアムネスティの考えに同意します。
それにしても、口封じのようにフセイン元大統領の死刑を急いで執行したのは解せませんでした。

McRashさん、はじめまして。
コメントをありがとうございました。
ブログも読ませていただきました。「自分や、その近しい人は絶対犯罪者にならないだろう、という根拠のない自己無謬化」を、わたしも常々感じております。死刑問題に限らず、消費者金融問題、その他もろもろの問題に関しても、自分自身と自分の関係する人たちについて根拠の薄い楽観論に身を委ねているのでは、と感じる場面が多いですね。

死刑を無くすヒント

「殺人事件の被害者は、誰一人として自己の意思で殺されたわけではない。
 一方、すべての死刑囚は、自己の意思によって死刑となるような、重い犯罪を回避するという選択肢を選べた。」

 岡村 勲 
 全国犯罪被害者の会代表幹事・元日弁連副会長



「死刑になるかもしれないと知っておきながら
 なぜこのテキサスで人殺しなんかしたんだ?」

 ジョージ・W・ブッシュ(※死刑に反対する人権団体の抗議に対し)
 第43代米国大統領・当時テキサス州知事

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