死刑モラトリアム法案まとまる
そのニュージャージー州知事コーザインさんが、毎日新聞との会見で語ったという言葉が心に残ります。
「暴力(犯罪)をなくすために死刑という制裁的暴力を使うべきでない」
と話すコーザイン知事は、死刑を廃止すべきだと考える理由を3つ挙げたそうです。
1.州が設置した委員会の研究結果から、死刑の適用が経済的、人種的にみて特定の階層に片寄っていることがわかった。
2.死刑を継続することによる(犯罪を低下させるなどの)実質的成果が、そのためにかける州民の税負担に比べ小さい。
3.自分を含め暴力(犯罪)を避けるために死(刑)を使うべきでないと考える人がいる。
ニュージャージー州は昨年12月に上下両院が死刑廃止法案を可決し、知事が署名しました。
コーザイン知事は「議会と行政が、制裁的な暴力をなくすことを民主的に選択した意義は大きい」とも述べたとか。
そしてこの方は、イラク戦争に反対した上院議員23人のうちの1人なのだといいます。
アメリカの話しだとはいえ、久しぶりに政治家から良い言葉を聞いて、ちょっとうれしくなりました。
「死刑の適用が経済的、人種的にみて特定の階層に片寄っている」という指摘は人種のるつぼアメリカだからこそ浮き彫りになったとはいえ、私たちの国でも「経済的にみて特定の階層に片寄っている」といえそうです。
このところ、橋下氏、鳩山邦夫氏等々、あまりに軽い政治家の言葉に不信感が募っていたところですし。
で、私たちの国でも、超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」が、死刑廃止に向けて「4年間の執行停止」を盛り込んだ法案を9日までにまとめたことをご存じでしょうか?
私は、少々前になりますが、10日のBBCニュースでこのことを知りました。
日本の国会議員、死刑停止を議論の俎上に載せる
日本の超党派議員連盟が、4年間の死刑一時停止を提案している法案をまとめた。
同法案は死刑制度廃止に向けた一歩で、近いうちに国会に提出されるだろうが、死刑に代わって仮出所なしの終身刑を導入している。
民主主義をとる先進国の中でも死刑制度を維持するのは日本とアメリカだけだ。
しかし同発議は、手強い反対に会う可能性が高い。
秘密裏に執行される死刑
長い間、日本の死刑採用を批判する人たちは、刑罰として死刑を採用することは自由民主主義と呼ぶに値しないと評してきた。
この死刑という制度と同じくらい非難されてきたのが死刑の執行方法だ。つまり死刑囚監房(拘置所)に収容されたものたちは、執行直前になって知らされる。抗議行動をさせないためだ。
死刑囚たちは、メディアへの発覚や一般市民の反対の声を避けるために、ほとんど場合、国会閉会中の金曜日に絞首刑にされる。
公判の段階では、被告は弁護士へのアクセスを簡単には許されず、検察体制は証拠よりも自白を偏重する傾向がある。
死刑廃止を主張する議員たちは、改革をすべき時だと考えているようだ。
しかし現法相鳩山邦夫は死刑制度維持を主張している。昨年9月の法相就任以来、6件の死刑に署名した。
また、日本人の大多数は、特に凶悪な犯罪に対して死刑制度の維持を望んでいる。
同国の凶悪犯罪率は世界標準から見て低くとどまっているが、1990年代半ばからかなり上昇してきた。
(以上)
日本のメディアでこのことを伝えたのは、私の気がついたところでは共同通信ぐらいでした。
「(1)終身刑の創設(2)死刑制度調査会の国会設置と4年間の死刑執行停止−が柱で、今国会での参院提出を目指す。死刑執行の停止を求める法案が国会に出されれば1956年以来、52年ぶりとなる」
とのことです。
以前にも、日本の死刑制度の過酷さをBBCが伝えたことを記事にしています。
「死刑執行はこれで最後にして欲しい」です。
死刑の秘密主義についてはこちらにも詳しく書かれています。
日本人の大多数が死刑制度の維持を望んでいる、という世論調査について、東京拘置所のそばで死刑について考える会(そばの会)が、設問そのものに疑義を呈しています。
死刑廃止を推進する議員連盟の発議を機に国会でも死刑制度について論議され、私たち一般の国民も、いま一度立ち止まって死刑のことを考えることになればいいな、と思います。
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