地方分権の正体 増税・徴税モンスター

増税が襲いかかる! と身をすくめそうになります。

 今日のニュースで知った福岡の森林環境税。佐賀県とともに今年(2008)度からの実施。

 2006年11月の福岡県だよりには、

「県の面積の約45%は森林です」
「森林の荒廃が進んでいます」
「森林の荒廃による影響」――「土砂災害が起こりやすくなります」「二酸化炭素の吸収量が減少し、地球の温暖化が進みます」

 といった文言が並び、締めくくりには次のような説明が。

森林再生のための新たな施策として、
公益的機能の回復を図るための間伐等の森林の整備
造林未済地への広葉樹の植栽
森林の再生の必要性や新たな施策についての情報発信
県民が行う森林保全活動への支援や活動案の募集
森林環境税を新たにもうけることについて。つまり増税のいい訳として、

森林からの恩恵は県民が広く等しく享受しているものであり、森林を「県民共有の財産」として社会全体で守り育てるという観点から、県民一人ひとりに広く公平に税の負担をお願いすることが適当
     

 これに対して西日本新聞が11月6日の社説で、次のように訴えたようです。

ほかに選択はないのか 福岡の「森林」税
 
新たな税負担を求めるときは、慎重でなければならない。所得税・住民税の定率減税廃止などによる増税に加え、医療、介護、年金の負担増などもあって、暮らし向きがきつくなったと感じている人も少なくないだけに、なおさらである。
県民均等税の個人の納税義務者は約200万人おり、1人500円で約10億円 となる。一方、対象となる法人は約10万社で計約3億円を負担する仕組みだ。
森林の荒廃を放置しておけば大規模な災害につながる恐れがあるとしても、荒廃した民有林すべてを対象に税金を投入して再生させることが適当かどうか疑義も残る。
                                                                                                            
 
    
 結局、福岡県の場合、 10億+3億で計13億円税収が増えることになります。


 こちらによると、「
05年度に税収があったのは高知や鹿児島など8県で、税収額は計約21億円。トップは岡山県の約4億7000万円だった」そうです。
 それに比べても、福岡県の13億はダントツですね。


 財政難に悩む地方自治体にとって、まるで慈雨のような増税の嵐

 
 この新たな税収について、
林野庁の森林・林業白書では次のように伝えられています。


森林整備等を目的とする税の導入について多くの都道府県で検討がなされ、平成15年度から 「森林環境税」を導入 した高知県をはじめ、平成17年度までに8つの県が使途を森林整備等とする独自課税の仕組みを設けており、さらに8つの県が平成18年度からの導入を決め ています。また、平成19年度からも、2県が森林整備や水源環境保全等を目的に独自課税を実施することを決めています。
 地方公共団体独自の取組としては、このほか、上流域の他の地方公共団体と協力しながら水源地域の整備を推進している例や、企業の森林づくりの場を提供す るため森林所有者との橋渡しの取組等を実施している例もみられます。このような地方公共団体の取組は各地域における森林の整備・保全に対する関心の高さの 表れとも考えられます。また、独自課税を導入する過程では、地域の森林の役割を住民に理解してもらうことに努力し、一定の成果を得てきています。 

  (トピックス 4 地方公共団体独自の森林整備・保全の取組        

 
                                                                                                        

 この森林環境税、以下のように自治体によって名称や具体的な施策に多少の違いはありますが、目的はだいたい同じでしょう。


高知県=名称:森林環境税
岡山県=名称:おかやま森づくり県民税
鳥取県=名称:森林環境保全税
鹿児島県=名称:森林環境税
島根県=名称:島根県水と緑の森づくり税
愛媛県=名称:森林環境税
山口県=名称:やまぐち森林づくり県民税
熊本県=名称:水とみどりの森づくり税
福島県=名称:森林環境税
兵庫県=名称:県民緑税
奈良県=名称:森林環境税
大分県=名称:森林環境税
滋賀県=名称:琵琶湖森林づくり県民税
神奈川県=名称:個人県民税に係る超過課税
岩手県=名称:いわての森林づくり県民税
静岡県=名称:もりづくり県民税
和歌山県=名称:紀の国森づくり税

 ……

 
日本には1都1道2府43県ありますから、47の都道府県のうち、東京・大阪・沖縄を除いて、
すでに導入済み・導入決定・導入を検討中の都道府県は44道府県にのぼります。

 

 こうした森林環境税についてはさまざまな批判があります。たとえばここのように。


 なぜ森林が荒廃したか、と考えてみると、戦後の林野行政に大きな原因が求められるでしょうし、また地方から中央へ、大都市へと人口移動が顕著に見られ、山が荒れるに任されたこともあるでしょう。
 しかもそうした大きな人口移動そのものが国の施策の結果でもあるわけですから、森や緑の問題についても、私たちの国はどこかで間違いを犯したのだと思います。


 ゴミ出しにも税がかかるようになって久しい中で、この森林環境税は「法定外目的税」というものに分類分けされています。つまり、地方税法に定められているもの以外の税目の目的税をいうのだそうです。

 
 そしてこの
法定外目的税というものは、「地方分権一括法」によって新たにもうけられたものらしい。


 で、この地方分権一括法とは、
地方分権改革の柱として、1997年7月の国会により、475本の法律改正案から成る法案として可決成立し、2000年4月1日から施行されたもので、住民にとって身近な行政は、できる限り地方が行うこととし、国が地方公共団体の自主性と自立性を十分に確保すること、といわれているのだとか。


 何のことはない、地方分権のかけ声勇ましく、三位一体の改革で地方へ配る税を半減させてその分国に税収を留め置き、地方の足りない分はそれぞれ各自で好きなように住民から徴収すべし、と法で決めた、ということではないのかな。


 知らない間に忍び寄る徴税モンスターの影に、私たちは食い尽くされてしまいそうです。


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