引き裂かれる日本

 先月、「日本経済が安定的に力強く景気上昇の波に乗っていくためには」「世界で競争力の高い自動車産業のノウハウ」を中小企業に普及させて、その生産性を上げる必要がある、と衆議院・予算委員会で答弁したアベ首相に疑問を呈したばかりの私ですが、それはあまりにも首相の答弁が浅いものだったから。

 総理大臣だからといって経済から教育問題、福祉、労働、etc.何にでも精通している必要はないのですが、かりにも世界に伍して1国の舵取りをしていこうというのであれば、それなりの高い見識を本人が持った上で、良いブレーンの助力を得る必要があるでしょう。

 それにしても情けない答弁の連続ですね。青臭い書生の論の域を出ていない、とでも偉そうに言いたくなりました。

 グローバル化の潮流の中で私たちの国が何を目指すのか、どうせ青臭い書生論であるならば、もっと気宇壮大に理想を語っていただきたいものです。おじいさんの岸信介の生き様がお手本では、あまりにも普遍的な理想から離れすぎています。シンゾー氏個人の人生の理想でしょうが、日本という国を引っ張っていく際の理想にしてもらっては、私たち国民が困ります。

 もう10年近く前に出された本ですが、『国家の論理と企業の論理』で著者の寺島実郎さんは、このグローバリズムの潮流の中で私たちが直面している問題は、トヨタの「カンバン方式」のような「現場の強さと工夫によってしたたかに生き延びる」ような小手先のことではない。もっと(寺島氏は「もう少し」と、控えめな表現をしていますが)根源的な問題だ、と述べています。

 米国流スタンダードの凄みは……「そのシステムを受容しなければ部外者として排除される」ことにあり、ただニッチ(隙間)を狙って個別に生き延びればよいということでは、、日本人の「自尊」が崩壊しかねないのである。……国の在り方そのものについての基本原理・原則に関し、米国流のスタンダードを「超克」していく道を求めねばならない。  


 そうそう、私はそういうことが言いたかったのだ、と思わず膝を打つ。10年前の言葉ですが、今でも通じます。


  今朝3月5日の参議院予算委員会で首相は、支持率で政治をしているのではない、結果を出してのみ評価される、結果がすべてだ、というようなことを言ってました。

 その「結果」が、つまりどんな「結果」を目指しているのかが問題なんですよね。
 これからは支持率を気にせずに「安部カラー」を出していく、とさまざまなところで言われています。安部カラーってどんな色なんでしょうか?
 
 安倍氏は以下の集まりに所属しています。

自民党歴史・検討委員会
日本会議国会議員懇談会(副幹事長)
日本の前途と歴史教育を考える議員の会(2004年2月に名称から「若手」をとった

神道政治連盟国会議員懇談会(事務局長)
超党派議員連盟・歴史教科書問題を考える
終戦50周年国会議員連盟及び後継組織の「明るい日本」
国会議員連盟
(事務局長代理)
憲法調査推進議員連盟(超党派の改憲議連)
みんなで靖国神社に参拝する
北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員
連盟(「拉致議連」)

 やはり一番の問題は日本会議でしょう。特にアベ内閣にはここに関わる人が圧倒的に多く、
日本会議による内閣ジャック、官邸ジャックといっても過言ではない」という人も。
 大日本帝国憲法を原点にした政治体制=国体に回帰して、天皇を中心とする国をつくろう、という意気込みを感じませんか?
 
 第2次世界大戦末期、ポツダム宣言受諾をめぐっての御前会議で頑強に「国体護持」を主張した軍人大臣。そして敗戦後は「国体回帰」を誓い、掲げてきた人たち。そんな人たちの真ん中に岸信介たちがいて、安倍晋三がいる。ただ戦前・戦中と違うことは、裏でアメリカと手をつなぎ、さらには傀儡同然のことさえ平気でやってきたこと。

 経済と軍事はどんどん米国流に浸食されて、民主主義は根付く前に後退し、自由と人権は「公共の福祉」に名を借りた全体主義に覆われ、後は「精神力」「国を愛する心」でやり抜け、耐えろ! といっているように聞こえてきます。

 米国流のドライでシビアな金儲けと、神道精神か何か知りませんが、明治に始まったに過ぎない伝統をバックボーンにした、悲壮とさえ感じさせる精神重視。このふたつに引き裂かれて、身動きならなくなってしまいそう。
 かたや米国流グローバルスタンダード、かたや「伝統」の神道精神。
 引き裂かれる日本。どこに自尊があるのだろうか。
  
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江戸日本文化の復興

毎年3万人強の自殺者の弱肉強食アメリカ流新自由主義対日本人だけでも350万人を死亡させた狂信的カルトの国家神道。
究極の選択ですね。
2月9日の『戦後失ったもの?』としえ「地域のきずな」「他人への思いやり」「家族のきずな」をあげていますが、これらが本当に生きていたのは明治政府成立以前150年以上前の日本の文化の中です。
新自由主義対国家神道ではなく、失ってしまった美しい日本文化の精神の復活を願いたい。
明治政府はそれ以前の江戸時代を未開で野蛮な暗黒の専制社会と描いていますが、これは新政府のプロパガンタ(宣伝またはデマ)で遅れた未開社会が突然近代化する事は絶対に有り得ません。
産業革命以前では有りましたが最高度に発達した文明が日本には存在しました。
戦争に明け暮れた天皇制政府ではなく260年間一度も戦争しなかった知恵にこそ学ぶべきでしょう。

柳田國男の遺したもの

実際,日本人は応仁の乱や戦国時代という国難を体験して,もう戦争はやめよう,武士=役人=兵士のみに刀を与え,実際の戦争はするまいと固く誓ったのが徳川幕府ではなかったろうか.

布引さんの書かれたように,日本人は昔から各地方・各職業で独自の生活文化を持っていました.これを柳田國男は「常民文化」(韓国語で読むとサンミンブンゲ)と呼び,彼の仮定する「常民」こそが本当の「日本人」のあり方だったのではないか,そこでは天皇制というのは抽象的な「王様」としてのみあり,日常生活の中に出てくるものではなかった;ただ昔話や子守歌やおひな様のような形で天皇制が抽象化してあるのみだった,としているのです.

自称右翼の方はぜひ,定本柳田國男集全34巻を隅から隅までお読み下さい.柳田が描き出した(特に「明治大正史」世相篇)生活文化の変容を読み,農民が戦争へと狩り出されていった悲劇を見つめて頂ければ幸いです.

非公開さん、ありがとうございます。
調べてみます。

布引さん、おはようございます。
江戸時代を未開で野蛮な暗黒の専制社会だと明治新政府が宣伝した、というのに同感です。薩長閥の新政府は無茶なことをしていますね。
それと、些細なことですが、赤不浄・黒不浄等々で郷村の住民が労働を休んだ日数は現代の祝祭日の数に匹敵すると、かつて河野信子さんから教わったことがあります。その方面でも、かえって苦しくなったのは「ご一新」の後ではないかなと思います。そんな話しを知ったら、例の「奥谷禮子」女史は何というでしょうか。

kaetchenさん、おはようございます。
江戸期の庶民も郷村の住民も天皇という存在を知らなかった、といいますよね。それでお稲荷さんに「正一位」の位を与えている人だ、なんて説明をしたというのですから。

日本人の自尊心

阿部氏やネット右翼が国粋主義にかぶれるのは自分自身の極端な対米従属、売国行為(劣等感)に対する反動で、何とか自尊心を取り戻そうという、切羽詰った動機がある。
小林義則は自分で『戦前の日本が悪くなかったと知って自尊心を取り戻せた』と語っています。
私やとむ丸さんは『昔は良かった』と言わなくても現在の自分を十分肯定的に捉えることができますが可哀想に彼らには絶対に無理。それで戦前回帰で国粋主義に走る。
ある意味では彼らは自分自身を良く知っているのですね。
右翼には戦前などと中途半端を言わずに幕末前を考えるくらい徹底的にやってほしい。

幕末前後に来日した欧米人の目には日本は『素朴で絵のように美しい国』『地上で天国あるいは極楽に最も近づいている国』と賞賛し『美術は絶妙、神のようにやさしい性質、魅力的な態度、礼儀正しさ、謙譲ではあるが卑屈では無く、精巧ではあるが飾ることはもない』と表現しています。
考古学のシュリーマンやイザベラ・バードの旅行記の記述では当時の中国(清)とあまりに評価が違いすぎて、今の日本人を眺めていると昔のこととは言え褒めすぎで身の細る思い。
しかし当時来日した欧米人は自国やアジア、アフリカ諸国と比べてそのように判断し感動を記録した。
しかし日本の学者、文化人たちは、この記録をステレオタイプのオリエンタル趣味で侮辱的表現と全てを歴史から抹殺する。日本に滅んでしまったが偉大な文明が存在した事実を消し去った。

ハーンやモラレスだけではなくほぼ全員の欧米の外交官や旅行者たち、ヒュースケン、チェンバレンやウエストン等の記録集で同じ事柄が書き記されています。


布引さん、こんにちわ。
>『戦前の日本が悪くなかったと知って自尊心を取り戻せた』と語っています。
実は今書いている次の記事がそのことを取り扱っています。乞う、ご期待!

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