教育再生会議 親学 モラロジー
世の中に蚊ほどうるさきもはなし りんりりんりと夜も寝られず、という狂歌がありました。
享保の改革だったか、寛政の改革だったか、とにかく改革断行で綱紀粛正が叫ばれていた時代を皮肉ったものでした。いや、蚊ですから、りんりではなくぶんぶ、ぶんぶ→文武だったかな?
いずれにしても、今日は、りんりのお話。
晴天とら日和さんも取り上げていますが、教育再生会議「親学11の提言」について。
この提言には、
・子守歌を聞かせ、母乳で育児
・授乳中はテレビをつけない
・5歳からはテレビ、ビデオを長時間見せない
・親子で演劇など芸術を鑑賞
・早寝早起き朝ごはん
・父親もPTAに参加
・自治体で親学講座を実施
・思春期からは自尊心が低下しないように努める
等々、ずらーっとあるそうです。
どんな経緯でそんなものが出てきたのか確かめて分かったのは、4月16日の「第9回規範意識・家族・地域教育再生分科会(第2分科会)」での親学会副会長で明星大学教授の高橋史郎氏が震源のようだということ。
高橋史郎氏は「新しい歴史教科書をつくる会」結成当初からの理事です。現在は副会長を辞任していて、上田知事の下、埼玉県教育委員として働いているようですが、この会の公民教科書を作るのにも深く関わった人でもあります。
この方がヒアリングで述べていることを資料から抜粋すると以下の通り。(読みやすいように段落替えをしています)。
資料6の文科省の「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討委員会報告」や、日本小児学会の「こどもの生活環境改善委員会」報告など、普遍的な提言が出されているが、母親に届いていない。
子どもの発達段階に応じた徳育についてのご提案、あるいは携帯やゲームなどの影響、早寝早起き朝ご飯の効果や、日本の伝統文化に根ざす子育ての知恵なども盛り込んだ提言ができると良い。
母乳についても、ユニセフ、WHOによる母乳育児応援の赤ちゃんにやさしい病院(ベビーフレンドリーホスピタル)認定施設は日本に43産院しかない。命をいかに捉えるかの視点もある。私は、子守歌や民話、神話、郷土の偉人伝などをよみがえらせる国会議員連盟の幹事長をやっているが、子守歌を聞かせようと呼びかけても、最近のお母さんは子守歌を知らない。
市町村合併の影響から、全国で5000程度あるといわれる子守歌の資料も失われつつある。故郷の子守歌を、6ヵ月検診などの機会で集まる際に歌うことなども含め、母性、父性を育て社会を変えるようなメッセージを発信したらどうだろう。
(引用終わり)
この高橋氏の意見に浅利慶太氏が大賛成し、池田守男(資生堂相談役)座長代理がとりまとめを検討する、と言い、その結果がこの11の提言なのでしょう。
怖いのは、この高橋史郎氏といっしょに呼ばれてたお二人が、〈子どもの発達と脳科学〉の専門家らしきこと。
安彦早稲田大教授が「子どもの成長・発達の吟味検討 ――脳科学基礎を中心に」というタイトルで、また津本忠治理化学研究所脳科学総合研究センターユニットリーダーが、「子どものこころの問題を脳科学的に理解し、解決法を見いだせる可能性の出現」等を話したもようです。
脳科学の知識は私にはありません。
でも、高橋史郎氏の提唱する「親学」は、こうした「科学」の装飾を施すことで、いかにももっともらしい体裁を繕っているのではないか。科学の衣をまとった現代の修身教育ではないか、という疑いが消えません。米国のインテリジェント・デザインを思い起こさせます。
「親学のすすめ」などという本も、この高橋史郎氏の監修で出されていますが、出版元は前エントリーでもふれたモラロジー研究所。日本会議を支える団体のひとつです。
日本会議に関係する人たちの中で、一体どれだけの人員が、アベ内閣のつくる有識者会議に動員されているのか、考えるとこわいものがあります。
この11の提言を大きなお世話、と一蹴したいところですが、大きなお世話は善意から出ているのに対して、これは善意どころか極めて悪意で意図的に出されたものだ、といっても言いすぎではないような気がします。
「倫理道徳の研究と心の生涯学習を推進する」というモラロジー研究所の「モラロジー生涯学習セミナー」、題して「心がつくる人生」は全国各地で開かれていて、文部科学省も後援しているのには驚きです。
11の提言のひとつ、「自治体で親学講座を実施」する場合は、このモラロジー研究所が請け負う可能性も十分考えられますね。
概して心のセミナーというのは人の心を壊す場合があることが知られています。
私ならまず行きませんが、義務として課されたらどうしますか?
言下に否定できないところが、今の世の中かもしれません。
その他「朝起き会」や「倫理」と呼ばれる団体が似たような主張と活動をしています。それぞれ「社団法人 実践倫理宏正会」と「社団法人 倫理研究所」の主宰です。
この倫理研究所も日本会議傘下の組織の一つですが、「扶桑教 ひとのみち教団」の幹部のひとりが戦後設立したとwikipediaにはあります。
実践倫理宏正会はこの倫理研究所からの分派です。
昔、知り合いがこのどちらかに参加していました。
毎月機関誌を買わされて人に配るようにいわれるけれど、人様にそんなもの配れない。結局自分が何冊も買い取って、人にただで配った。馬鹿らしいからそのうちやめた、とその人は言語ってました。とても現実的な人だったので、それで終わって良かったようなものです。
また、朝起き会については、夫に三つ指ついて挨拶しろ、というところだと、奥様方の噂にもなっていました。
ちなみに機関誌の『倫理』今月号の「実証研究」は、「家の継承における夫婦・親子の倫理」とか。
「”心を豊かに生きる” をキャッチフレーズに人間関係・教育・健康・家庭の諸問題の原因を解明し、幸福への的確な実践を提示します」と謳う他の機関誌もあります。
アベ内閣になり、いつのまにか政策の中に、密かに、また着実に紛れ込むようになったのが、宗教色の強いこうした倫理観。日本の政治に深い影を落としています。
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享保の改革だったか、寛政の改革だったか、とにかく改革断行で綱紀粛正が叫ばれていた時代を皮肉ったものでした。いや、蚊ですから、りんりではなくぶんぶ、ぶんぶ→文武だったかな?
いずれにしても、今日は、りんりのお話。
晴天とら日和さんも取り上げていますが、教育再生会議「親学11の提言」について。
この提言には、
・子守歌を聞かせ、母乳で育児
・授乳中はテレビをつけない
・5歳からはテレビ、ビデオを長時間見せない
・親子で演劇など芸術を鑑賞
・早寝早起き朝ごはん
・父親もPTAに参加
・自治体で親学講座を実施
・思春期からは自尊心が低下しないように努める
等々、ずらーっとあるそうです。
どんな経緯でそんなものが出てきたのか確かめて分かったのは、4月16日の「第9回規範意識・家族・地域教育再生分科会(第2分科会)」での親学会副会長で明星大学教授の高橋史郎氏が震源のようだということ。
高橋史郎氏は「新しい歴史教科書をつくる会」結成当初からの理事です。現在は副会長を辞任していて、上田知事の下、埼玉県教育委員として働いているようですが、この会の公民教科書を作るのにも深く関わった人でもあります。
この方がヒアリングで述べていることを資料から抜粋すると以下の通り。(読みやすいように段落替えをしています)。
資料6の文科省の「情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討委員会報告」や、日本小児学会の「こどもの生活環境改善委員会」報告など、普遍的な提言が出されているが、母親に届いていない。
子どもの発達段階に応じた徳育についてのご提案、あるいは携帯やゲームなどの影響、早寝早起き朝ご飯の効果や、日本の伝統文化に根ざす子育ての知恵なども盛り込んだ提言ができると良い。
母乳についても、ユニセフ、WHOによる母乳育児応援の赤ちゃんにやさしい病院(ベビーフレンドリーホスピタル)認定施設は日本に43産院しかない。命をいかに捉えるかの視点もある。私は、子守歌や民話、神話、郷土の偉人伝などをよみがえらせる国会議員連盟の幹事長をやっているが、子守歌を聞かせようと呼びかけても、最近のお母さんは子守歌を知らない。
市町村合併の影響から、全国で5000程度あるといわれる子守歌の資料も失われつつある。故郷の子守歌を、6ヵ月検診などの機会で集まる際に歌うことなども含め、母性、父性を育て社会を変えるようなメッセージを発信したらどうだろう。
(引用終わり)
この高橋氏の意見に浅利慶太氏が大賛成し、池田守男(資生堂相談役)座長代理がとりまとめを検討する、と言い、その結果がこの11の提言なのでしょう。
怖いのは、この高橋史郎氏といっしょに呼ばれてたお二人が、〈子どもの発達と脳科学〉の専門家らしきこと。
安彦早稲田大教授が「子どもの成長・発達の吟味検討 ――脳科学基礎を中心に」というタイトルで、また津本忠治理化学研究所脳科学総合研究センターユニットリーダーが、「子どものこころの問題を脳科学的に理解し、解決法を見いだせる可能性の出現」等を話したもようです。
脳科学の知識は私にはありません。
でも、高橋史郎氏の提唱する「親学」は、こうした「科学」の装飾を施すことで、いかにももっともらしい体裁を繕っているのではないか。科学の衣をまとった現代の修身教育ではないか、という疑いが消えません。米国のインテリジェント・デザインを思い起こさせます。
「親学のすすめ」などという本も、この高橋史郎氏の監修で出されていますが、出版元は前エントリーでもふれたモラロジー研究所。日本会議を支える団体のひとつです。
日本会議に関係する人たちの中で、一体どれだけの人員が、アベ内閣のつくる有識者会議に動員されているのか、考えるとこわいものがあります。
この11の提言を大きなお世話、と一蹴したいところですが、大きなお世話は善意から出ているのに対して、これは善意どころか極めて悪意で意図的に出されたものだ、といっても言いすぎではないような気がします。
「倫理道徳の研究と心の生涯学習を推進する」というモラロジー研究所の「モラロジー生涯学習セミナー」、題して「心がつくる人生」は全国各地で開かれていて、文部科学省も後援しているのには驚きです。
11の提言のひとつ、「自治体で親学講座を実施」する場合は、このモラロジー研究所が請け負う可能性も十分考えられますね。
概して心のセミナーというのは人の心を壊す場合があることが知られています。
私ならまず行きませんが、義務として課されたらどうしますか?
言下に否定できないところが、今の世の中かもしれません。
その他「朝起き会」や「倫理」と呼ばれる団体が似たような主張と活動をしています。それぞれ「社団法人 実践倫理宏正会」と「社団法人 倫理研究所」の主宰です。
この倫理研究所も日本会議傘下の組織の一つですが、「扶桑教 ひとのみち教団」の幹部のひとりが戦後設立したとwikipediaにはあります。
実践倫理宏正会はこの倫理研究所からの分派です。
昔、知り合いがこのどちらかに参加していました。
毎月機関誌を買わされて人に配るようにいわれるけれど、人様にそんなもの配れない。結局自分が何冊も買い取って、人にただで配った。馬鹿らしいからそのうちやめた、とその人は言語ってました。とても現実的な人だったので、それで終わって良かったようなものです。
また、朝起き会については、夫に三つ指ついて挨拶しろ、というところだと、奥様方の噂にもなっていました。
ちなみに機関誌の『倫理』今月号の「実証研究」は、「家の継承における夫婦・親子の倫理」とか。
「”心を豊かに生きる” をキャッチフレーズに人間関係・教育・健康・家庭の諸問題の原因を解明し、幸福への的確な実践を提示します」と謳う他の機関誌もあります。
アベ内閣になり、いつのまにか政策の中に、密かに、また着実に紛れ込むようになったのが、宗教色の強いこうした倫理観。日本の政治に深い影を落としています。
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