外交の嘘 二枚舌

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「覚えてろ! ただじゃすまさんからな!」とか「月夜の晩だけじゃないぞ!」とか、凄みを見せる言葉を吐く人がいたり……田中真紀子さんに「ピーナツを食べろ」と迫った人もいたりする、アベシを総裁に戴く政党。

「政権維持のためなら、ありとあらゆる策を講じるのが自民党という集団だ」といわれます。

 この「ありとあらゆる策」の中には嘘もあるようで、内政のみならず外交の一断面を切り取るだけで、ぼろぼろと嘘が出てきます。先日お話しした国連分担金の滞納もそうでしたが、いったい何のために内向けと外向けの言葉を意図的に変えるのでしょうか。

 「うさちゃん騎士団SC」さんに以前から国際刑事裁判所ICCの記事をTBしていただいております。

 このICCの問題で政府がどんな嘘をついてきたのか、 河辺一郎さんの『日本の外交は国民に何を隠しているか』にもとずいて、時系列に沿って見ていきましょう。 

1948年: 国連総会が作った最初の人権条約、ジェノサイド条約が作られる。
       ここで、ICCの設立が予定されていた。

 が、米ソ対立の冷戦構造確立から、その後の進展はなし。

 89年12月: 冷戦が終わる。
 93年: クリントン政権の成立で、ICC設立へ向けた動きが加速。
      総会がICCについての決議を採択。
     12月: 総会がアドホック委員会の設置を決定。

 *アドホック(ad hoc)とは、ラテン語で「この問題に限って」、「特別の目的のため」、「即応的な」などの意味があり、そのような求めに応じて設置される委員会のことを指す。

 94年4月: アドホック委員会活動開始。アメリカ10名、日本7名の代表団派遣。
        日本は報告者と副議長を務めた。

 *この時日本は、「国際刑事法廷を設立する際に確保されなければならない3つの点」として、

「遵法原則、裁判の公正さ、人権の保護を含む刑法の原則の尊重」
「法廷活動の実効性の確保」
「法廷は、現存の機構を補完する現実的で柔軟な機関でなければならない」

 ということを挙げた。

 いかにももっともらしい言葉が続きますが、あくまでもこれは日本政府の考えを官僚的に表現したものであることに注意! 

 ICCの設立によって安保理の立場が弱まることを懸念した保守派によって激しく批判された米国は意見書を提出し、日本はその米国を支持しています。
 
「ICCが発足すると米軍の行為が裁かれる、つまり米軍の最高司令官たる米国大統領が被告になる可能性が」あり、これが「米国の軍事活動に制約を課」し、「国連においては唯一強制行動をとる権限を持つ安保理の力を弱めることになる」ことを米国が心配したわけです。

 そこで日本はICCを、「現存の機構を補完する」ような、「安保理の権限を脅かさないようなもの」にすべきだ、と主張したのです。

 1998年6月にローマで「国際刑事裁判所設立に関する国連全権外交会議」で米国が受け入れられるようなICCにすべきだと演説したのは当時の国連大使、小和田恒氏でした。

 ただしクリントン大統領は保守派の反対にあいながらもICC推進を試みた。

 2000年12月: 政権を去る直前にクリントンはICC規程に署名。

 2002年5月: このクリントンの署名をブッシュは撤回。

 英国、フランス、ノルウェー、アイルランドはICCを支持。

 米国はICCに批准していない国の国連平和維持活動PKO要員に対する訴追を1年間猶予する決議を採択して妥協を図る。

 その後米国は、米兵らをICCに引き渡さないことを定めた2国間協定を各国と締結するのを推し進め、さらに03年に訴追猶予決議はさらに1年延期された。

 04年: アブグレイブ刑務所での虐待が明らかになる中で、その訴追猶予の延期を米国は断念。

 この米国の一連の動きは、ICCに批准していないのだから、米軍の好き勝手にさせろ、ということであり、米軍の捕虜虐待が明らかになるにつれて、国際世論が米国の身勝手さを許さなくなった、ということでしょう。

 そして2003・04年の安保理会合では、各国の発言もICCに集中。

 日本はこの時オブザーバーとして参加したが、03年9月当時で138カ国が署名、92カ国が批准していた中で批准どころか署名すらしていない日本は例外的だった。

 *国連加盟国のICC締約国マップ(2007年6月現在)

 その上日本は、ICCに反対する米国の要望に添うようにすべきだと演説をした。

 04年、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所、ルワンダ国際刑事裁判所、シエラレオネ特別法廷等を例に挙げて、安保理が紛争後の対応に国際法廷を設置してきたことを理由にICCに否定的な見解を述べたのが日本と米国だけだった。

 安保理では国際法廷の設置について拒否権が通用します。

 つまり、安保理で拒否権を持つ米国は、自国が裁かれると思ったら拒否権を使って国際法廷を設置させなければいいわけです。
 が、ICCではそうはいかない。
 そこで、ICCをつくるのは嫌だ、と米国、というよりブッシュ政権が言い、その米国の身勝手さを許して応援したのが私たちの国、ということです。

 ところが政府は国内に向けては、

「我が国は一貫して国際刑事裁判所の設立を支持して、その実現に努力してまいったわけでございますが、私はもう非常に誇るべきことだと思います」

 と杉浦正健外務副大臣(当時)が国会で語り、ICC規程が発効された際も川口外相(当時)は、

「わが国は、ICCの設立を一貫して支持し、その実現に向けて努力してきており……設立に向けた作業に積極的に関与してきている」とする談話を発表した……

 政府は、国民がICCの設立を歓迎するだろう、と予測するからこそ、実は国際政治の舞台では一貫して設立にブレーキをかけるような言動をしてきたことを話せない。
 いや、むしろ、国民の考えを承知した上で、それに反するような方針をかかげてICC設立の動きに対応している、というべきでしょうか。

 wikipediaによると、今年10月にも私たちの国はICCに加盟する見通しだそうです。

 それにしても、なぜこうも米国に追従するという選択しかしないのか、不可解です。

 ちなみに日本が安保理常任理事国入りに失敗したのは、安保理に米国は二つも要らない、ということなのだ、と英国在住の人から聞き、やはり日本は米国の属国と見なされているのか、と妙な納得をした覚えがあります。

 そのことを有権者には徹頭徹尾隠して、いってみれば情報鎖国の状態に国民を置いている。

 これから、日本と日本人を、どこへ連れて行こうというのでしょうか?

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         よくTBを下さるZAKIさんも頑張って

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