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年次改革要望書 「郵政民営化」部分の訳

米国の年次改革要望書はそのうち外務省の和訳が出るだろうと思ってましたが、やはり気になったのでちょっと読んでみました。

かなりな部分で前年2006年と同じ文面が見られたのですが、特有の用語は出てくるし、複雑怪奇な郵政民営化について理解不十分な上に、前年のものと見比べながら読んだので、けっこう疲れました。

 それにしても「要望」という名目で、さらには「米国は日本に」「求める」と外務省訳されていても、原文には“urge”が使われるなど、実質「強制」ではないか、と遅まきながら絶句した私です。
 日本側の米国への要望書はどうなっているのだろうか、と気になりましたが、そこまで見るゆとりはありませんでした。 昨日は1日仕事と遊びでしたし、今日はここまでややこしい英文と格闘したので、もうひと休み。

 なお、大部分の項目では前年文章に新たな文章が追加されたり一部修正されたりしているだけですが、Aの7.8.は、今年まったく新しく加えられた項目です。

 残りの項目は、明日にでもアップします。

 以下は、郵政民営化について書かれた米国の要望(強制)です。
 なお、間違いやおかしな点がございましたら、お知らせ下さい。

                 **********

民営化


Ⅰ.   公社・公団の民営化


  日本が公社・公団の民営化を実行するにあたり、米国は日本に対してすべての市場参加者に公平な競争環境を構築することを強く求める。さらに、市場に影響を与える事項について日本国内および外資などの民間企業体が意見を提供・表明できる有意義な機会を与えられるといった、透明性のある形でそのような措置を講じることを提言する。


Ⅱ.   日本郵政株式会社の改革


 もし精力的に実施されれば、日本郵政株式会社の市場志向改革が競争を刺激し、資源のより有効的な活用につながるなど、日本経済に利益をもたらす可能性があると米国は認識している。米国系企業、日本企業およびその他の民間企業に比べて郵政制度に長期にわたり付与されてきた優遇措置を撤廃するために、また、新たな優位性を持つことがないようにするためにも、完全な市場志向型改革の実施が必要である。これらの改革を実施するにあたり、新たな日本郵政株式会社と民間企業の間に均等な競争条件を確立するという法律の原則を確実なものとするために、必要な措置がすべて講じられることが重要である。


A. 郵便貯金と郵便保険における競争条件の同一化と金融制度の安定性


 ゆうちょ銀行およびかんぽ生命保険会社は2007年10月の民営化当初から、政府保証付きの商品の提供を止め、民間企業と同じ納税義務および法律上・税制上義務を満たすことが義務づけられ、郵政持ち株会社とともに民間企業と同様の監督の適用を受けることになるとの日本による確認を米国は歓迎する。さらに米国は、民営化された郵政金融制度は、実際に民間企業の金融組織と同一の認可・公開・監督の適用を公平に受けることを確実なものにするための措置が講じられることになろうという日本の約束に勇気づけられる。新しい郵政各企業間の関係が、資本関係でアームスレングスに基づいていること、そして関連法下で創設された新たな事業団体間で相互補助(ゆえに、リスクの転化)を考慮する制度が存在しないことを確認したことを米国は歓迎する。銀行法と保険業法下での日本ゆうちょ銀行と日本かんぽ生命保険会社の唯一の検査・監督官庁として金融庁は、金融制度の安定が脅かされることのないよう、有効なリスク管理を整備、実行することを担保するため、重大な役割を担っていくだろう。上記措置の完全な実施を確保することに加えて、米国は日本に対して、次の追加的手段を講じ、新たな日本郵政グループと民間企業との間の競争条件の同一化を図るという郵政民営化法案の目的を達成するよう求める。


1.  商品の流通と販売網


  郵便局株式会社を通じて金融商品を販売する競争において、民間企業に平等で透明なアクセスを提供することを確保し、業界の最良慣行に一致し、アームスレングスの規則にのっとり、 日本郵政持ち株会社のゆうちょ銀行およびかんぽ生命保険会社との関係が真に市場ベースのものになることを確保する。


2.   預金と再保険の関係


 独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(公社継承法人)が、ゆうちょ銀行およびかんぽ生命保険会社のもとに委託する預金と再保険契約に関して、以下のとおり、必要な措置を含む。   


a.  2007年10月以前の旧勘定および契約と、2007年10月以降に結ばれた新勘定および契約とを完全に分離することで、リスクを完全に分断すること、預金保険機構と生命保険契約者保護機構が旧勘定および契約の負債を負わないようにする。


b.   預金と再保険契約が完全にアームスレングスに基づくものとし、このような取り決めにより新しい郵政金融機関同士が相互扶助することのないようにする。透明性に関しては、再保険料決定方法を公開する。


c.   黒字、赤字を含め公社継承法人の財務状況と再保険取引が一般に公開され、日本の一般会計基準にのっとり報告されるようにする。


3.   暗黙の政府保証


 日本政府が郵政金融機関の政府保有株式を完全売却するまでを含め、2007年10月以降に提供する商品に政府保証が付されないことを消費者や市場に周知させるため有効な方策を講じる。加えて、ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険の業務範囲を拡大する際はそれに先立ち、またその後は定期的に、実際の販売方法を注意深く監視し、関連法を執行して、2007年10月以降の新勘定および契約にも政府保証が付いているかのように偽って伝えることがないようにするとともに、郵政金融機関が政府との関係をてこに市場の競争相手より優位な地位を獲得するようなことがないようにする。


4.   独禁法の執行


 公正取引委員会の適切な調査とその他の措置を通じて、日本郵政株式会社の民営化と改革が自由な競争、透明性およびアームスレングス業務慣行、競争政策および規制改革の有効な実施を促進するような形で行われることを確保する。


5.   社会・地域貢献基金


 基金の透明な運用(費用配分方法やその計算に用いられる費用と収入のデータ、基金の配分の十分で定期的な開示を含む)を確保し、さらに、他に国内企業や外国企業にではなく、民営化された郵政金融サービスの提供会社に対して、不当な利益が生じることの内容に、内部統制や透明で正確な支出基準などの措置を講じる。


6.   資産評価


 独立の監査人が独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構(公社継承法人)のすべての資産、負債、準備金を評価し、この評価結果がすべて一般に公開されることを確保する。


7.   相互扶助


 日本郵政株式会社の子会社の自主経営における透明性を確保するために、日本郵政株式会社子会社の独立した監査人は、相互扶助を排除するために導入される措置について評価を報告する。それらの対策の有効性について報告するのはもちろんである。


提案のあった訳

  日本郵政株式会社の子会社の自主経営における透明性を確保するために、各子会社の独立した監査人が、会社間のもたれ合いを排除するための措置ならびに、その有効性について報告することを求める。

8.   金融庁職員の確保


 新たな日本郵政企業体について、関連する金融法規に対するコンプライアンスを検査する職員を金融庁FSA が確保したというニュースを歓迎し、他の市場参加者に対する内国民待遇に基づいて民間企業に適用されるすべての規制の下で金融庁が日本郵政の金融子会社を適切に規制できるよう、十分な人員その他が金融庁の正規監督職員から確実に任命されるよう、米国は日本に強く求める。


B.   競争条件と新商品導入


 郵便金融機関が新しい貸し付け業務やかんぽ生命保険による新規または変更された保険商品の引き受け、ならびにゆうちょ銀行による元金無保証型投資商品の元売りを許可される前に、郵便金融機関と民間金融機関の間に同一の競争条件を真に確立することを、米国は日本に強く求める。金融庁が、金融サービスや保険商品の販売・流通を展開する際、銀行法と保険業法に基づいて民間金融機関と同一の基準をゆうちょ銀行およびかんぽ生命保険に適用するという確認を歓迎する。米国はまた、新規または変更された製品が市場のひずみを生まないことを確実にするために、郵政民営化委員会PSPCが新製品の申請を検査することを歓迎する。同一の競争条件を確立するということは、郵便機関にも内国民待遇に基づいて公平に他の企業と同様の義務を課すことを含むが、新たな製品や特約を導入する際も含まれる。上記のように、法規によって民間金融機関と同一の方法による郵便金融機関の効果的な監視およびコンプライアンスを確実なものにすることを、また改革プロセスとその実行が日本のWTO義務、特にGATSの内国民待遇の原則と矛盾しないことを、米国は日本に強く求める。


C.   エクスプレス貨物サービスの公正な競争


  郵政民営化法第2条のもとに求められているような、新たな日本郵政株式会社と民間運送会社間の「競争に相当する状態」の確立が完全に確実となるように必要な措置をすべて講ずることを米国は引き続き日本に求める。この点で米国は、完全に公平な競争環境の構築を促進する以下の措置を取るよう、日本に強く求める。


1.   民間のエクスプレス貨物運送会社に適用されているものと同等の通関手続を、日本郵政株式会社が取り扱う郵便と小包みに適用する。特にEMS便について、米国は日本に対し、現在日本の規則により適用されている「賦課課税」方式ではなく、「申告納税」方式が確実に適用されるように強く求める。


2.   通関情報処理システム(NACCS)に係る費用や通関申告書類にかかる費用など、日本郵便会社に対しても同等の通関費用の支払い義務を課す。


3.   日本郵便株式会社が取り扱う品目についても、民間のエクスプレス貨物運送業者が運ぶ品目の場合と同じ方法で、同じ安全・保安基準が適用されること。


4.   日本郵便株式会社の事業について、日本郵政株式会社とその子会社が参加する取引を含め、民間企業に課されるものと同じ基準で事業分野ごとの開示を義務づけることを含めて、その内容を十分開示するために必要な措置をすべて取り、 同社の事業と他の日本郵政の企業体間で相互扶助が起こらないようにする。


5.   国土交通省(MLIT)による新たな日本郵政企業体とその関連事業の監督が、民間企業に適用されるものと同じ基準で行われることを確保する。


6.   日本郵便株式会社の郵便事業と物流事業に対して民間企業に適用されるものと同じ租税を適用し、航空安全や保安規定も同じく適用させる最終規則を適時発効し、規則草案については公開レビューができるようにする。また、EMSサービスは、貨物自動車運送に関する法令および政省令の下での国土交通省(MLIT)による管理を確保し、郵便事業に関するオペレーションは貨物運送に関する法令および政省令による監督をする。



D.   透明性



 これらの改革が完全に透明性をもって実施されることを確実にするため、考慮されるべき利害関係者の意見を聴く機会が十二分に提供されてからはじめて最終決定ができることを含め、米国は日本が必要な措置をすべて講じることを強く求める。最終決定が競争環境に影響を与える可能性がある、したがって日本郵政株式会社の事業が金融サービスおよびエクスプレス貨物分野の双方において民間競争相手に影響を与える可能性があるような政策決定の過程では、これはとりわけ重要である。具体的に、米国は、日本が以下の措置を取るよう強く求める。


1.   郵政民営化委員会など日本政府が開催する委員会または構成要素が、民間部門に影響を及ぼす可能性のある問題について議論する場合には、米国系企業および他の外国企業を含む民間の利害関係者が積極的に貢献する有意義な機会が提供されるよう確保する。


2.   市場への影響について、また新たな日本郵政企業体と民間企業の間の競争条件への対応度についてすべての利害関係者が意見を述べる機会を提供することを含めて、日本郵政改革の実施に関しては定期的(すなわち年1回)な公開レビューを行い、また日本郵政企業体のコンプライアンスについて透明性のある検証をするために、現在民間企業に適用されているのと同じ法規を提供する。


3.   民間企業に影響を及ぼす日本郵政株式会社の改革について、民間の利害関係者に関係職員と意見交換をする有意義で時宜を得た機会を提供する。


4.   日本郵政株式会社の改革にかかわる事項について整備される施行規則、ガイドライン、政令、実施計画およびその他の措置について、パブリックコメント手続、並びにそのほかの手段によって一般の意見を求める。また、それらが最終決定される前に、それらの意見が十分考慮され、適切であれば措置案に確かに盛り込まれるようにする。


5.   政府が開催する検討会に関連する資料や議事録など、日本郵政改革の計画と実施に関する情報を、引き続きウェブサイト、記者会見その他の手段で適時一般に公開する。



 以上



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*郵政民営化第2条とは基本理念を謳った部分です。次に記しておきます。


 第二条  郵政民営化は、内外の社会経済情勢の変化に即応し、公社に代わる新たな体制の確立等により、経営の自主性、創造性及び効率性を高めるとともに公正かつ自 由な競争を促進し、多様で良質なサービスの提供を通じた国民の利便の向上及び資金のより自由な運用を通じた経済の活性化を図るため、地域社会の健全な発展 及び市場に与える影響に配慮しつつ、公社が有する機能を分割し、それぞれの機能を引き継ぐ組織を株式会社とするとともに、当該株式会社の業務と同種の業務 を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じ、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを基本として行われるものとす る。




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