ブッシュ政権の戦争犯罪に心理学者たちが手を貸していた 

テロとの戦いでブッシュ政権が手を染めたおぞましい犯罪。18日のデモクラシー・ナウ! で語られたのは政権のみならず心理学者までグアンタナモ収容所の拷問に関わっていたというショッキングな話しです。事実は小説より奇なり、とはいえ、ナチ政権下の科学者の役割を連想させ、言葉を失います。

 ゲストは新著The Dark Side: The Inside Story of How the War on Terror Turned Into a War on American Ideals(『闇――テロとの戦争がいかにしてアメリカの理想との戦争に変わったのか、その内幕』を刊行したジェーン・メイヤー。
 ここには、
ブッシュ政権がいかにしてその尋問・監禁政策を巧妙に作ったか、年代順に記録しているそうです。

 これについてデモクラシー・ナウの記事からちょっとまとめてみました。


・昨年、国際赤十字は極秘のレポートで、CIAの捕虜の取り扱いは明確に拷問にあたり、拷問手法を認めたブッシュ政権の関係者たちは戦争犯罪で有罪になる可能性があると警告した。
 捕虜のひとり、Abu Zubaydahは赤十字に、1週間ごとに最低でも10回水責めを受け、棺桶に似た小さな箱に閉じこめられた、と語った。
 捕虜の中には東ヨーロッパにあったらしい謎の収容所からグアンタナモに送られた捕虜も14人いた。

・6年前にCIAが、グアンタナモの捕虜のうち1/3は誤って収監された可能性があると警告したが政府は無視した。
 つまり2002年の夏、あまりいい情報が引き出せないのに業を煮やしたCIAは、アラビア語が話せるイスラム原理主義のエキスパートをグアンタナモに調査に送った。いい情報が得られない理由の一つが、1/3は無実だったためだ、とこのエキスパートは報告。

 無実の収容者の中にはできの悪い生徒に不合格点を付けてうらまれ、テロリストだ、と名指しされた教師もいた。

・2006年9月6日ブッシュ大統領は、米国は拷問をしていない、Zubaydaらに使われた手法は安全に計画され、法にも憲法にも(ジュネーブ)条約義務にも完全に適っている、と語った。

・ブッシュ大統領が口にしたAbu Zubaydahの尋問方法は違法だ、とFBIは認識していた。
FBIは、ちょうど一種の信頼関係を構築する方法でAbu Zubaydahに語りかけようと努めていたとき、そこから最上級の情報を得た、と説明。
 Abu Zubaydahの尋問を誰がするかで争いがあり、結局CIAが全面的に新たな尋問方法を考案した。
 CIAはAbu Zubaydahの服を脱がし、ありとあらゆることを実行した。犬の檻に閉じこめられ、タオルをかぶせられて呼吸もやっとできるほど。24時間ぐらいの間そうされていた。また繰り返し水責めを受けた。

 これを見たFBIは手を引き、そのうちの1人は本部にCIAの尋問官を逮捕すべきだと思う、と伝えた。

・このCIAの尋問プログラムのアドバイサーになったのが、ジェームズ・ミッチェルとブルース・ジェッセンというふたりの心理学者。

・この心理学者たちが使った理論が、「学習性無力感」というもの。

学習性無力感の理論は、70年代に著名な心理学者で、元アメリカ心理学協会会長のマーティン・セリグマン博士が犬の実験から考えた。

・セリグマン博士は2002年5月、サンディエゴの海軍基地のSEREスクールでCIAに3時間のレクチャーをしている。およそ50人の聴衆の中にはジェームズ・ミッチェルとブルース・ジェッセンもいた、とジェーン・メイヤーの質問に対する返答のメールで答えた。


 

《セリグマン博士の回答》

 拷問の過程で助力したことはない
 ただアメリカ軍兵士や職員は、学習性無力感と呼ばれているものや拷問に抵抗したり核心をついた尋問を回避するための知見をいかにして使うか、ということを話しただけだ

*ただし、回答の得られなかった質問も多かった。


 《ジェーン・メイヤーの疑問》


SEREスクールに講演に行ったとき、セリグマン博士は何をしようと考えていたのか?
 50人ほどの聴衆の中にミッチェルとジェッセンのいたことがどうして分かったのか?
 2人と話しをしたのではないか?
 拷問のことで、ミッチェルとジェッセンが果たしている役割を知っていたのではないか?

  
・昨年、元アメリカ心理学協会会長Joseph Matarazzoがミッチェルとジェッセンの仕事仲間であることが明かされた。
 アメリカ心理学協会とこのプログラムとのつながりが何度も浮上した


・現在、
Abu ZubaydahらのCIA尋問官だった人物は、ワシントン州シポケーン市にあるミッチェルとジェッセンの会社で働いている。

・昨年のアメリカ心理学協会の年次大会では、ラリー・ジェームズ大佐が、心理学者が強制訊問に関わるのを一時的に停止するという提案に反対するために、グアンタナモからやって来た。大佐は自身がグアンタナモ収容所のチーフ心理学者でアメリカ心理学協会のメンバーだ。

                                                                                                 

 他にも名前の挙げられている心理学者たちが……。

 特に問題になっている、尋問に立ち会いもしているミッチェルの信条は「科学は科学」ということらしい。
 科学は倫理ではない。道義的判断は必要ない、という姿勢をとる人でしょうか。

 金儲けに手段を選ばず……こわいことです。


      
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